目線
私は、『大富豪』というトランプゲームが好きである。
だから、生徒ともよくする。私の趣味に付き合ってもらうわけだ。
それは、生徒と本気になれる瞬間で、年上、年下も、講師、生徒の関係もない、
目線が同じ、一人の人として本気になれる瞬間
である。
たかが、『大富豪』で大げさかもしれない。
教える立場、教わる立場、先生と生徒、会社では、上司と部下、家での親の立場、その立場上、同じ目線であることはない。そういった考えが私にはある。自衛隊での教育がそこにはあるのかもしれない。
分かってはいても、心の奥では、生徒と仲良くしたいし、叱りたくもない。
ただ、子供の成長を考えるなら、それらは必要になる。心を鬼にして…とあるが、奥が深い。
そういった中、トランプゲームは配られたプレイヤーに平等にチャンスが生まれる。もっている肩書きをすべて外して、ハダカで勝負できる瞬間だ。
配られたカードを見てにんまり。悪くてもポーカーフェイス。
「うきょ~」負けると、誰よりも悔しがっている気がする。
生徒によっては、私を負かそうと力をあわせてくる子もいる。
お互い本気なのだ。
さそってもなかなかゲームをしてくれない生徒もいる。気を使わず、正直な意見を言ってくれていると考え、そんな遠慮のない関係にうれしく思う。といいつつ、ちょっと寂しい。
そう、同じ目線…
年を重ねると、ついつい上からの目線で物事を話すことが多くなっている気がする。そのため、教える時、そういったことにならないように心がけている。できるだけ分かってもらえるように教える。頭ごなしに、 「こーなんだ!」 と押しつける方法はできるだけ避ける。「ある子は、こういった教え方で納得してくれたから、この子にも…」では理解してくれないケースもある。1人1人の目線に降りること。
そうでないと、
やっぱり分かってもらえないんじゃないか!
なにごとも!
トランプゲームを通しての再認識だ。
ただ、一人一人の目線に降りることは、はっきり言って相当大変。頭がグニャグニャになる。けれども、このことをできるようになりたいし、そうすることで、間違いなく生徒のためになる。自分自身、もっと素敵な先生になれる。ひいては、もっと素敵な大人になれる。そう考えてる。
まだまだ完全ではない、成長中の私。私が学生時分に出会った先生方に、少しでも近づけたらいいな。